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大阪地方裁判所 平成9年(ワ)2162号 判決 1998年9月10日

大阪市中央区上町一丁目二六番七号

原告

ミノル工業株式会社

右代表者代表取締役

高橋実

大阪市中央区上町一丁目二六番七号

原告

株式会社マーベル

右代表者代表取締役

高橋興

右原告両名訴訟代理人弁護士

露口佳彦

奈良市鳥見町二丁目二〇番地の六

被告

島顯侑

大阪府東大阪市中石切町三丁目一三番一六号

被告

ジェフコム株式会社

右代表者代表取締役

島顯侑

右被告両名訴訟代理人弁護士

村林隆一

松本司

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告島顯侑は、被告ジェフコム株式会社と連帯して、原告ミノル工業株式会社に対し四二二万八三三〇円及び原告株式会社マーベルに対し四二二万八三三〇円並びにそれぞれに対する平成九年四月二〇日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告ジェフコム株式会社は、被告島顯侑と連帯して、原告ミノル工業株式会社に対し四二二万八三三〇円及び原告株式会社マーベルに対し四二二万八三三〇円並びにそれぞれに対する平成九年四月二二日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、被告島顯侑(以下「被告島」という。)が、自らが有していた実用新案登録出願に係る配線用引出棒の考案についての出願公告による仮保護の権利(以下「本件仮保護の権利」という。)に基づいて、また、被告ジェフコム株式会社(以下「被告ジェフコム」という。)が、本件仮保護の権利の独占的通常実施権に基づいて、原告らが製造、販売する別紙一及び同二記載の配線用引出棒(以下、それぞれ「イ号物件」、「ロ号物件」という。)の販売等の差止め、並びに損害賠償を求めて訴訟を提起したことについて、原告らが、被告らは、<1>原告らが本件仮保護の権利について先使用権を有すること、<2>本件仮保護の権利は補正により考案の要旨を変更したものであって、仮に後に登録されたとしても無効とされる蓋然性が高いものであることをそれぞれ知り又は知り得べきであったにもかかわらず、訴えを提起したものであって、被告らの訴訟提起は不法行為に当たる等として、右訴訟の応訴にかかった費用等の賠償を請求している事案である。

なお、本件仮保護の権利に係る実用新案登録出願については、その後、実用新案権の設定登録がされた(以下、右の実用新案権を「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という。)が、原告ミノル工業株式会社(以下「原告ミノル工業」という。)外が請求した無効審判に対する審決において、被告島のした明細書の補正が考案の要旨を変更するものであって、手続補正書を提出した日に出願したものとみなされ、そうすると公知技術から極めて容易に考案できるとして無効であると判断され、東京高等裁判所の判決を経てこれが確定し、無効となった。

一  基礎となる事実(いずれも争いがない)

1  本件仮保護の権利及び本件実用新案権

(一) 被告島は、昭和六二年一月八日、榊法泉、小針久夫を共同出願人とする「配線用引出棒」の考案に関する実用新案登録出願に係る権利(出願日・昭和五八年九月三日、出願番号・昭和五八年第一三七二二二号)を、右両名から取得した。

(二) 被告島は、右権利について、昭和六二年一月一六日付で名義変更届を提出した上で同日付手続補正書を提出して明細書全文、図面全図を訂正したが、同年一一月一三日、特許庁より実開昭五二-一四三六九四号公報、実公昭五-一〇〇二三号公報、実公昭四八-三二一九二号公報を引用文献として、拒絶理由通知が発せられた。

その後、被告島は、昭和六三年二月一七日付意見書及び同日付手続補正書を提出し、実用新案登録請求の範囲全文及びその他の部分の訂正を行ったが、同年四月八日、特許庁により、前記引例より考案が極めて容易である、あるいは設計変更程度のものであることを理由として拒絶査定がされた。

被告島は、同年七月六日に審判請求書を提出するとともに同日付手続補正書を提出して明細書全文を訂正し、その後右考案は、平成四年六月一八日に公告決定がされ、同年一〇月二六日に出願公告された(公告番号・平成四年第四五三七六号)。

そして、右考案は、平成五年四月一二日に実用新案登録すべき旨の審決があり、同年八月二七日に本件実用新案権の設定登録がされた(登録番号・第一九八〇八一八号)。

(三) 本件実用新案権の設定登録に対し、原告らの依頼によりイ号物件及びロ号物件を製造していた大丸興業株式会社(以下「大丸興業」という。)は、平成五年九月一三日、特許庁に対し、無効審判を請求した(平成五年審判一八〇四四号)。また、原告ミノル工業も、同年一一月八日、同様に、特許庁に対し、本件実用新案権の無効審判を請求した(平成五年審判第二一五二〇号)。

右両事件は併合審理され、特許庁は、平成六年一二月二六日、実用新案登録請求の範囲に記載されている、「目印部を付設」すること、「引っ掛け部4」で線を挟むこと、引っ掛け部4と押し部14を「一本の線状部材にて連続的に形成して」いることの三点は、出願当初の明細書及び図面に記載された事項の範囲内ということはできず、本件考案の補正は明細書の要旨を変更するものであり、手続補正書の提出された昭和六三年二月一七日に出願されたものとみなされ、そうすると、本件考案は引用例に記載の考案に基づいて極めて容易に考案できたものと認められるとして、本件実用新案権の登録を無効とする審決をした。

(四) 被告島は、平成七年二月二七日、東京高等裁判所に右審決の取消しを求める訴訟を提起し、平成七年九月二一日付審決により本件実用新案権の実用新案登録請求の範囲欄の「電球6等の照明乃至目印部」を「電球6の照明部」に訂正することを容認する審決を得たことを主張して、その取消しを求めたが、平成八年六月二七日、右訂正を認められた部分以外の二点について要旨変更に当たるとした審決の判断に誤りはなく、本件考案は第二次補正の手続補正書が提出された昭和六三年二月一七日に出願されたものとみなされるから、右の訂正は審決の結論の影響しないとして、被告島の請求を棄却する旨の判決がされた。

2  前訴の提起

(一) 平成五年八月五日、被告島は、本件仮保護の権利の権利者として、被告ジェフコムは、その独占的通常実施権者として、原告らに対し、原告らが製造、販売するイ号物件及びロ号物件の製造、販売、販売のための展示の差止め、右各物件の廃棄並びに三四九九万二〇〇〇円及び遅延損害金の支払を求めて大阪地方裁判所に訴訟を提起した(平成五年(ワ)第七三三二号事件。以下、右の訴訟を「前訴」という。)。

(二) 前訴は、平成七年五月三〇日、被告ら(前訴原告ら)の請求を棄却する旨の判決が言い渡された。

右判決における理由の要旨は、(1)原告ミノル工業(前訴被告)は昭和五八年八月二九日及び同月三〇日に東京晴海の国際貿易センター新館で開催された「ジャンボびっくり見本市」(以下、単に「見本市」という。)にロ号物件を出品して注文を受けていたことから、原告ら(前訴被告ら)は本件実用新案の登録出願の際に現にロ号物件にかかる考案の実施であるその製造、販売の事業をしていたものと認められ、本件考案についてロ号物件の製造、販売、販売のための展示の範囲内で先使用権を有する、(2)イ号物件は、ロ号物件が頭部218に蛍光塗料を塗布した蛍光目印部206を有するものであるのに対して、頭部118に照明用電球106を有する点のみが相違するところ、昭和五九年三月ころには原告ミノル工業(前訴被告)はイ号物件の販売を開始しており、イ号物件に係る考案はロ号物件に係る考案の完成と同時期に完成しており、原告ら(前訴被告ら)は、本件実用新案登録出願の際に現にイ号物件に係る考案の実施であるその製造、販売の事業の準備をしていたものと認められ、イ号物件の製造、販売、販売のための展示に関しても本件考案について先使用権を有する、というものであった。

(三) 被告らは、平成七年六月七日、右判決を不服として、大阪高等裁判所に控訴を提起した(平成七年(ネ)第一四七七号事件)。

しかし、前記1(三)(四)のとおり、平成六年一二月二六日、特許庁において本件実用新案権の無効審決がされ、被告島が東京高等裁判所に提起した右無効審決取消訴訟も平成八年六月二七日に請求棄却の判決がされたことから、被告らは、同年七月八日に右控訴を取り下げ、前訴の原審判決は同日確定した。

二  争点

1  被告らは、本件仮保護の権利の出願手続においてされた明細書の補正が要旨変更にあたり無効となる蓋然性が高いこと、また、原告らが本件仮保護の権利について先使用権を有することを、知り又は知り得べきであったにもかかわらず、前訴を提起したものとして、被告らの前訴の提起が不法行為を構成するか。

2  被告ジェフコムが本件仮保護の権利の独占的通常実施権者として前訴を提起したことは違法か。

3  仮保護の権利に基づいて侵害物件の差止等の訴訟を提起し、その後当該権利が無効となった場合に、平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法一二条四項に基づいて、相手方がその訴訟活動等に要した費用を賠償する責任があるか。

4  仮に、被告らの前訴提起が違法であるとした場合、原告の損害額

三  当事者の主張

1  争点1について

【原告らの主張】

(一) 明細書の要旨変更

(1) 被告らは、本件考案の手続補正において、出願当初の明細書並びに図面には全く記載されていなかった実用新案登録請求の範囲記載の「目印部を付設」すること、「引っ掛け部分で線を挟む」こと、「引っ掛け部と押し部を一本の線状部材にて連続状に形成している」こと、という各要件を、新たな事項として明細書に加えた。このような全く新しい事項を考案の要件として明細書に加えれば、明細書の要旨を変更するものとなり、補正をした日に出願したものとみなされるから、本件考案はいったん登録されても将来登録無効とされる蓋然性が極めて高いものであった。

被告ら、特に被告島は、他に多数の特許、実用新案登録の出願を行っているから、このことを当然熟知していたはずであり、仮に知らなかったとしても重大な過失があるというべきである。

(2) 本件考案は、前訴において差止請求の対象となったイ号物件及びロ号物件が原告らによって多数販売されて当業者から注目を集め、好評を博するに至って久しい時期になって、被告島が他人からの売り込みを奇貨として譲り受けて自己名義にしたものであり、右の補正内容に徴しても、被告島がした本件明細書の補正の意図は、本件考案をイ号物件及びロ号物件を含む出願に変更すべく意図的に行ったものであることは明らかである。

(二) 先使用権

(1)<1> 原告ミノル工業は、昭和五八年八月二九日及び同月三〇日に開催された見本市にロ号物件を出品し、注文も受けていた。この展示会は、不特定多数の者が展示品を見学したり、関係者の説明を聞いたりしており、かつ、予約申し込みを行っていた。

見本市には、被告ジェフコムの前身であるデンサン工業株式会社も原告ミノルエ業の隣接箇所に出展しており、その代表者である被告島は会場全体を見回っているし、また、自社の見本市責任者から、原告ミノル工業がロ号物件を展示していることの報告を受けていた。

被告島は、右の展示会のわずか二か月後である昭和五八年一一月七日に、ロ号物件を電球付きに変えただけの配線用引出棒について、実用新案登録出願(実願昭五八-一七二一四五)をし、右出願は後に出願公告に至っているのである。

<2> 仮に、被告島がロ号物件が見本市に出展された事実を知らなかったとしても、競争関係にある同業者として、他の会社が展示している製品に関心がないというのは、著しい過失、怠慢というべく、また、自社の責任者が会場に詰めていたのであるから、同人に聞こうと思えば容易に聞けたはずであり、通常人の注意力をもってすれば、当然に原告らの展示品に注意を払い、気が付くはずであった。

(2) 原告らは、被告島から受けた、原告の製造、販売する配線用引出棒が本件仮保護の権利を侵害する旨の平成五年五月七日差出の通告書に対し、同年六月四日差出の回答書で、<1>本件仮保護の権利は無効理由を有すると判断できる、<2>原告らは、昭和五八年八月から本件仮保護の権利と実質的に同一の配線用引出棒を製造、販売している旨の回答をした。

被告島は、前記のとおり、昭和五八年八月二九日及び同月三〇日に開催された見本市においてロ号物件を見ているのであるから、原告の右回答書に記載された事実は見本市での展示のことをも含んだ内容であることは容易に分かることである。しかるに、被告らは、原告に何らの通知も連絡もすることなく、前訴を提起したものである。

仮に被告らが、原告らが見本市にロ号物件を展示していたことを知らなかったとしても、原告らに再度問い合わせるなど慎重な調査をすべきであり、あえてこれを行わなかったのは、競業関係にある同業者として、著しく注意を怠ったというべきである。

(三) このように、被告らは、原告らが右のように本件実用新案権の出願以前からロ号物件を展示会に展示していた事実を知りながら、仮にそうでないとしても著しい過失によりこれを知らず、かつ、将来無効となる蓋然性が極めて高い本件仮保護の権利に基づいて、ロ号物件及びこれを電球付きのものにしただけのイ号物件に関して販売等の差止め及び損害賠償を求める訴訟を提起したものである。

よって、被告らの前訴提起は違法な行為というべきであって、原告らに対する不法行為を構成する。

【被告らの主張】

(一) 民事訴訟を提起したものが敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものである上、提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。

(二) 明細書の要旨変更について

本件実用新案権は、特許庁の形成行為によって形成されたものであり、後日それが無効となったとしても、当該権利に基づく訴訟の提起までが違法となるものではない。

また、本件考案についての実用新案登録出願は、被告島が他人の出願を譲り受けたものであって、明細書が不完全であったので、被告島は弁理士に委任して補正したのである。このような補正をするのは出願手続における常套手段であり、かつ、特許庁自体が右の補正を適法なものとして実用新案権の設定行為をしたのである。

被告らは、本件実用新案権が無効になる蓋然性については全く知らなかったのであるから、本件実用新案権が後日無効審判によって無効になったとしても、被告島に過失があったということはできない。

(三) 先使用権について

(1) 相手方が先使用権を有していることは、通常は、裁判で相手方において主張され、また、認定されるまでは、実用新案権者には分からないことである。

原告らの広告に配線用引出棒が初めて掲載されたのは昭和五九年一月ころであり、被告島はそれまで原告ミノル工業のかかる広告を見ていなかったし、被告島からの警告書に対する原告ミノル工業の回答書には、本件実用新案権は進歩性がないと主張されていたのみで、先使用権の、主張は全くなかったのである。

ちなみに、原告らの配線用引出棒について、その製造者である大丸興業が実用新案登録の出願をしたのは昭和五八年一〇月一一日である。大丸興業は多くの工業所有権の出願を行ってきた会社であり、したがって、本件についてのみ発売から二か月もその出願を遅らせたことは異常なことである。

このように、原告らから先使用権の主張はなく、また、先使用権の存在が明らかでなかったので、被告らは訴えを提起したのであって、訴訟において先使用の事実を認められたとしても、被告らに過失があったということはできない。

(2) 原告らは、被告島が見本市において原告らの展示会場に展示されていたロ号物件を見ていると主張するが、被告島は、原告らの展示会場は見たものの、そこにあったとされるロ号物件は見ていない。展示会場を見たからといって、個々の貝体的な展示品を見、これを記憶していることはあり得ない。

(3) 先使用の事実は、前訴第一審訴訟において原告らが初めて主張し、第一審裁判所が認容したものである。被告らは、右の先使用の事実が認められたことに不服があるので控訴をしていたが、本件実用新案権が無効となったことから控訴を取り下げたものであって、決して先使用の事実を認めて取り下げたものではない。

したがって、原告らの先使用権があるとする主張は、本訴においても争うものである。

2  争点2について

【原告らの主張】

被告ジェフコムは、前訴において、独占的通常実施権者として被告島とともに原告となったものであるが、出願中の考案についての独占的通常実施権者なる者の提訴権は認められていない。

また、被告ジェフコムは、本件考案の登録後にあっても、専用実施権者としての設定登録も、通常実施権者としての登録も行っていない。

したがって、被告ジェフコムには訴権が認められないにもかかわらず、訴訟を提起した違法がある。

【被告らの主張】

被告島は自らは本件仮保護の権利にかかる製品を実施していたものではなく、自己が代表取締役をしている被告ジェフコムに独占的に通常実施権を設定して、同社において製造、販売していた。

通常実施権は登録をしなくても効力を生じ、また、この通常実施権に独占的通常実施権と非独占的通常実施権があることは講学上認められている。独占的通常実施権者にも損害賠償請求権はあり、これは、仮保護による権利についても当然準用される。

3  争点3について

【原告らの主張】

仮保護の権利は、不確定な要素を含んだ解除条件付きの権利であり、このような権利行使が認められることとの均衡上、権利濫用防止の措置として、平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法一二条四項は、仮保護の権利を有する者がその権利を行使した場合において、当該実用新案登録出願が無効にされたときは、その者は、権利の行使により相手方に与えた損害を賠償する責に任ずると規定し、無過失賠償責任を負わなければならないこととされていた。

本件実用新案における手続補正は、要旨変更に当たることが十分に予期し得たものでありながら、原告らの製品をこれに包含させるべく、全く新規な事項を考案の要旨として加えたものである。そして、さらに、ロ号物件が公知であったことを知りながら、あえてこれを糊塗して訴訟の提起に及んだものであり、その後本件実用新案権の無効が確定したものであるから、被告らは、前訴の提起によって原告らに与えた損害の賠償の責を負わなければならない。

【被告らの主張】

本件実用新案権は、いったん登録になったものであり、仮保護の権利の無過失賠償責任の規定は、本件には関係がない。

4  争点4について

【原告らの主張】

被告らは、原告の前訴提起により、次のとおり、八四五万六六六〇円の損害を被った。

(一) 前訴第一審

(1) 訴訟代理人費用

着手金 一〇〇万〇〇〇〇円

(2) 証拠収集・打ち合わせ費用

<1> 東京出張費等交通費(六回) 二二万二三六〇円

<2> 日当(一〇日) 一〇〇万〇〇〇〇円

<3> 訴訟輔佐人相談費用 五〇万〇〇〇〇円

(二) 前訴控訴審

(1) 訴訟代理人費用

<1> 着手金 七〇万〇〇〇〇円

<2> 成功謝金 一一〇万〇〇〇〇円

(2) 打ち合わせ等費用

<1> 日当(八日) 八〇万〇〇〇〇円

<2> 訴訟輔佐人相談費用 三〇万〇〇〇〇円

(三) 登録無効審判

(1) 代理人弁理士着手金 三四万〇〇〇〇円

(2) 同成功謝金 三四万〇〇〇〇円

(3) 特許庁費用 四万四〇〇〇円

(四) 審決取消訴訟

(1) 訴訟代理人(弁理士)着手金 八〇万〇〇〇〇円

(2) 同成功謝金 八〇万〇〇〇〇円

(3) 東京出廷交通費(五回) 一八万五〇〇〇円

(4) 日当(五日) 三二万五〇〇〇円

第四  判断

一  争点1について

1  民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和六三年一月二六日第三小法廷判決・民集四二巻一号一頁参照)。

2  そこで、本件について、右のような事情が存在したかを検討する。

(一) 明細書の要旨変更について

(1) 本件実用新案権は昭和五八年九月三日に出願され、昭和六二年一月一六日付、昭和六三年二月一七日付及び同年七月六日付各手続補正書により、三度にわたる明細書の補正を経た上で、平成四年六月一八日に公告決定がされ、平成五年八月二七日に設定登録がされたこと、その後、原告ミノル工業外が請求した無効審判における審決において、実用新案登録請求の範囲に記載されている、「目印部を付設」すること、「引っ掛け部4」で線を挟むこと、引っ掛け部4と押し部14を「一本の線状部材にて連続的に形成して」いることの三点が補正により明細書の要旨を変更したものであり、手続補正書の提出された昭和六三年二月一七日に出願されたものとみなされ、本件考案は公知技術から極めて容易に考案できたもので無効であると判断されたこと、右審決の取消しを求めた東京高等裁判所の判決において、「引っ掛け部4」を線で挟むこと、「引っ掛け部4と押し部14を一本の線状部材にて連続的に形成」することを補正により明細書に加えたことが要旨変更に当たるとした審決の判断に誤りはなく、本件考案は第二次補正の手続補正書が提出された昭和六三年二月一七日に出願されたものとみなされるなどとして、被告島の請求を棄却する旨の判決がされたことは、当事者間に争いがない。

(2) ところで、平成五年法律による第二六号による改正前の実用新案法においては、出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達前の明細書又は図面の補正は、明細書の要旨を変更しない限り許されていたが、右にいう「明細書の要旨」とは、本来、実用新案登録請求の範囲に記載された技術的事項をいい、したがって、明細書を補正した結果、実用新案登録請求の範囲に記載した技術的事項が出願当初の明細書に記載した事項の範囲内でないものになったとき、その補正は要旨変更に当たることになる。しかし、本件実用新案権の出願手続中の明細書の補正について適用される前記改正前の実用新案法においては、出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達前に、願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において実用新案請求の範囲を増加し、減少し又は変更する補正は、明細書の要旨を変更しないものとみなすものとされていた(平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法九条一項、特許法四一条)。そして、ここでいう「明細書に記載した事項」とは、その事項自体を直接表現する記載が明細書にない場合であっても、出願時において、当業者が出願当初の明細書に記載されている技術内容からみて記載してあったと認めることができる程度に自明な事項を含むと解される。

そうすると、明細書の補正が要旨変更に該当するか否かは、補正された内容が出願当初の明細書又は図面に記載されていた事項の範囲内といいうるか否か、また、出願当初の明細書又は図面に記載された技術内容からみて当業者にとって自明といいうるか否か、さらに、実用新案登録請求の範囲に記載した技術的事項が出願当初の明細書に記載した事項の範囲内でないものになったか否かを判断する必要があることになる。

このようなことから、明細書の補正が要旨変更に該当するか否かの判断は、一義的に明確でない場合もあり、関係者において見解の相違が生ずることも少なくないことは、当裁判所に顕著な事実である。

(3) そして、前記改正前の実用新案法一二条一項により認められる仮保護の権利が、出願公告により、出願について拒絶の理由を発見しないとの審査官又は審判官の判断を経たものについてのみ認められる権利であることからすると(平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法一三条、四一条、同改正前の特許法五一条一項、五三条一項、一五九条一項、三項参照)、本件のように後に実用新案権の設定登録に至った仮保護の権利に基づいて訴訟を提起したことが違法であると評価されるには、仮保護の権利者において、出願公告の決定が行われたにもかかわらず、それまでにした明細書の補正が要旨変更に当たり、その結果当該権利が無効原因を内包するものであることを明確に認識していたなどの特段の事情がある場合に限られると解するのが相当である。

(4) しかるに、本件全証拠に照らしても、被告らが、被告島のした明細書の補正が要旨変更に当たり、その結果出願日が補正時に繰り下がるものとして扱われることにより、本件考案が公知技術より極めて容易に考案できるものとして拒絶査定され、あるいはいったん登録されたとしても無効とされる蓋然性が高いことを、前訴提起の当時に認識していたと認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。

(二) 先使用権について

(1) 証拠(甲第一一号証、第一三号証の一ないし五、第一四号証の一ないし三、第二〇号証の一ないし四、第二一号証の一、二、第二二、第二三号証、検甲第一、第二、第四号証、乙第一号証、証人平田育丈、被告島本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

<1> 昭和五八年二月ころ、原告ミノル工業は、高野電機商会株式会社の副社長である高野善三郎(以下「高野」という。)から、原告株式会社マーベル(当時の商号は高橋興産株式会社であった。以下「原告マーベル」という。)の社員を通じて、配線用引出棒の商品化について提案を受け、市販の魚釣り用伸縮竿の先端に逆U字型の針金を付けたサンプルを提示された。

その後、同年三月、高野電機商会株式会社から原告ミノル工業に対し、配線用引出棒三〇〇本の製造依頼があり、原告ミノル工業は配線用引出棒の商品化に着手した。

<2> 原告ミノル工業は、従前から取引関係にあり、釣具事業部を有する大丸興業に配線用引出棒の製造を依頼し、大丸興業は、同年五月二〇日に、三進精工株式会社に竿の金型を発注した。

<3> その後、同年六月ころには、配線用引出棒の最初のサンプルが出来上がり、原告ミノルエ業代表者、高野、大丸興業担当者らは、量産に移る前に再度検討をして、七月中旬ころに頭部に蛍光色塗装を付した量産サンプルが出来上がった。

なお、遅くとも同年六月二七日ころには、引出棒の頭部に蛍光色塗装を付すことが考えられていた。また、当初のサンプルには通常の釣り竿と同様に、各つなぎ竿の先端にリング状の金貝が取り付けられ、グリップ部分には糸が巻かれていたが、最終的には、販売単価を下げるためにこれらを外すことにした。

<4> 同年七月終わりころ、高野が右配線用引出捧の商品名を「ケーブルキャッチャー」と命名した。原告ミノル工業は、高野電機商会株式会社に対し、配線用引出棒を同年八月上旬に一〇本納品した。

<5> また、原告らは、同年八月二九日及び同月三〇日に開催された見本市に、配線用引出棒「ケーブルキャッチャー」を、定価七五〇〇円と表示して展示した。

右見本市には被告ジェフコムの前身であるデンサン工業株式会社も出展しており、被告島も来場し、会場全体を見回っていた。

以上の事実が認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない(なお、原告ミノル工業の製造、販売した引出棒の先端の金具がいかなる形状のものであったかについては、ひとまず措く)。

(2) 本訴では、被告らの前訴提起の違法性が問題となっているところ、前記(一)で述べたところからすれば、被告らが本件仮保護の権利に基づいて訴訟を提起したことが違法であるというためには、少なくとも、前訴提起の当時に、被告らにおいて原告らが本件考案の実用新案登録出願日以前から右仮保護の権利に係る考案の技術的範囲に含まれる配線用引出棒を現に製造、販売し、あるいはその準備をしていた事実を知り、あるいは通常人であれば容易にそのことを知り得たにもかかわらず訴訟を提起したと認められることが必要であるというべきである。

(3) しかし、そもそも、被告らにおいて、原告らが配線用引出棒を製造、販売し、あるいはその準備をしていた事実を知っていたと認めるに足りる証拠はないものといわざるを得ない。

そして、乙第一号証、第三号証の一ないし六、第四号証の一ないし四、第五号証の一ないし六、第六号証の一ないし六、第七号証の一ないし四、第八号証の一ないし七及び第九号証の一ないし五並びに弁論の全趣旨によれば、原告らが自らの製造、販売する配線用引出棒について広告を掲載し始めたのは昭和五九年一月ころからであり、それ以前に原告らは広告をしていないことが、また、乙第一一号証の一、二によれば、大丸興業がロ号物件について、昭和五八年一〇月一三日に実用新案権登録出願をしていることが、それぞれ認められ、また、甲第二号証、第二三号証、乙第一号証及び弁論の全趣旨によれば、本訴で提出された、原告らが出願日以前に配線用引出棒を製造販売していたことを裏付ける帳簿や図面等(甲第一三号証の一ないし五、第二〇号証の一ないし四、第二一号証の一、二、第二二号証、検甲第一号証)は、いずれも大丸興業の内部資料、あるいは原告らが所持していた資料であり、かつ、いずれも前訴の審理過程において初めて提出されたものであると認められ、前訴提起前に被告らが入手することが困難な資料であったものと推認される。

右のような事実からすれば、仮に被告らが前訴の提起前に原告らの先使用権の有無について相当な調査をしたとしても、原告らが本件考案の出願日以前から、配線用引出棒を製造、販売していたことを知り得たということはできないものと認められる。

(4)<1> 原告らは、被告島がデンサン工業株式会社の見本市責任者から原告らがロ号物件を展示していることの報告を受けていると主張し、甲第一八号証(デンサン工業見本市責任者岩﨑勝作成の証明書)をその根拠として挙げる。

しかし、同号証の記載は、被告島が原告らの配線用引出棒を見たという点については推測として記載されているにすぎず、右岩﨑が被告島に対してした報告についてはその内容が明確ではないし、また、乙第一号証によれば、右岩﨑は被告ジェフコムの営業方針が自らの意向に合わないことから退社し、現在は被告ジェフコムと競業関係にある会社に勤めている者であることが認められるから、右甲第一八号証から直ちに、被告島が原告が昭和五八年八月二九日及び同月三〇日に東京晴海で開催された「ジャンボびっくり見本市」に原告らが展示していた配線用引出棒を見、あるいは報告を受けていたものと認めることはできない。

<2> また、原告らは、被告島が昭和五八年一一月七日に、ロ号物件を電球付きに代えただけの配線用引出棒について実用新案登録を出願していると主張し、右事実をもって被告島が見本市において原告らの製造販売する配線用引出棒を見たと推認されるとするようである。

しかし、被告島がいかなる内容の実用新案登録出願をしたかは本件全証拠によっても明らかでなく、その点を措くとしても、甲第二三号証によれば、配線用引出棒自体については、従前から釣り竿を改造したものが作業現場で使用されており、高野が製造を依頼する以前にもミノル工業に対しては同様のユーザーからの提案が複数回あったもので、原告らが製造、販売を開始した時点においても特に目新しいものではなかったことが認められるから、仮に原告らの主張するとおりであったとしても、そのことから被告島が見本市において原告らの製造、販売する配線用引出棒を見、あるいは報告を受けていたことが推認されるものではない。

<3> さらに、原告らは、前訴提起前に被告島から受けた警告書に対する回答書(甲第九号証)において、原告ミノル工業は昭和五八年八月から本件仮保護の権利と実質的に同一の配線用引出棒を製造、販売している旨の回答をしているにもかかわらず、何ら確認をせずに前訴を提起したとして、被告らに著しい注意義務違反があると主張する。

しかし、甲第九号証によれば、原告らの主張する回答書の記載は、右回答書の全体の趣旨からすれば、無効理由の存在を基礎付ける公知事実の一つとしての主張であることは明らかであり、また、右の回答書には、公知文献として特許公開公報及び実用新案公告公報の写しが添付されていたことは窺われるものの、原告ミノル工業が本件考案の実用新案登録出願日より以前から配線用引出棒を製造、販売していた事実を証明する資料は何ら付されていなかったものと認められるのであって、この回答書の記載をもって、原告らが本件仮保護の権利について先使用権を有することを当然知り得たといえないことは明らかである。

(5) したがって、原告らが本件考案の実用新案登録出願日以前から製造、販売していた配線用引出棒については、そもそも、被告らが原告らの製造、販売の事実を知り、あるいは通常人であれば当然その事実を知り得べきであったということはできないから、その先端がいかなる形状のものであったかにかかわらず、原告らの主張は理由がないものといわざるを得ない。

3  そうすると、前訴の提起は、本件実用新案権が無効になったことにより結果的に原告らが主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであったことになるが、被告らがそのことを知りながら又は通常人であれば当然知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合であるということはできない。

4  よって、原告らの主張は理由がない。

二  争点2について

1  前訴提起当時、被告島が本件考案について仮保護の権利を有し、被告ジェフコムが、右仮保護の権利についての独占的通常実施権者として前訴を提起したことは、当事者間に争いがない。

2  仮保護の権利者は、業としてその実用新案登録出願に係る考案の実施をする権利を専有するのであるから(平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法一二条一項)、その権利の行使について、自ら実施するのみでなく、通常実施契約を締結して他人に実施させることも当然に含むものと解するのが相当である。

そして、通常実施権は設定登録をしなくとも効力を生じ、いわゆる独占的通常実施権は、その実施する権利を侵害する権原を何ら有しない者との関係においては、専用実施権者と同視することができるから、損害賠償請求権を有すると解すべきである。

仮保護の権利における独占的通常実施権者についても、このような損害賠償請求権を否定すべき理由は見出せない。

3  なお、独占的通常実施権者に当該実施にかかる権利に基づく差止請求権が認められるか否かは解釈上争いがある点であるが、このように実務上解釈が定まっていない点について、法律的に構成し、訴訟を提起することは当然認められるべきものであり、このことをもって不法行為に該当するということができないのはいうまでもない。

4  したがって、被告ジェフコムが本件仮保護の権利について独占的通常実施権者として前訴を提起したことをもって、不法行為に該当するとする原告らの主張は理由がない。

三  争点3について

平成五年法律第二六号による改正前の実用新案法一二条四項は、仮保護の権利を有する者がその権利を行使した場合において、その後、仮保護の権利の基礎となっている実用新案登録出願について実用新案権の設定登録されないことが確定した場合、及び仮保護の権利を行使した後に、願書に添附した明細書又は図面についてした補正又は補正の却下により相手方の実施行為が実用新案権の設定登録の際の実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないことになった場合についての仮保護の権利者の無過失責任を規定したものであり、出願公告に係る考案についてそのまま実用新案権の設定登録がされるに至った場合には、その後に実用新案登録が無効になったとしても、右規定が適用されないことは、その条文上明らかであるから、原告らの主張は失当である。

四  結論

よって、その余の点を判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法六一条、六五条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。

(平成一〇年七月二一日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 小松一雄 裁判官 高松宏之 裁判官 水上周)

(別紙一)

イ号配線用引出棒

一、 図面の簡単な説明

第1図 全体斜視図である。

第2図 短縮状態の側面図である。

第3図 先端要部側面図である。

第4図 先端要部平面図である。

第5図 押し部に線を挟んで押す状態を示す斜視図である。

第6図 引っ掛け部に線を挟んで引く状態を示す斜視図である。

第7図 電球付きヘッド部と電池を抜き出した状態の斜視図である。

二、 図面の詳細な説明

プラスチックからなる引出棒本体101は先端が細く、根元が太いように、順次外径寸法の変化する複数本のつなぎ竿115・・・を、伸縮自在に連結してなっている。

この引出棒本体101の先端116に頭部118が取付けられ、この頭部118は、引っ掛け部104と線を挟んで押すための押し部114と、先端照明用電球106とこれを保護するカバー107とを備え、先端116に着脱可能に接続ナット108で取付けている配線用引出棒である。

以上

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

第7図

<省略>

(別紙二)

ロ号配線用引出棒

一、 図面の簡単な説明

第1図 全体斜視図である。

第2図 短縮状態の側面図である。

第3図 先端要部側面図である。

第4図 先端要部平面図である。

第5図 押し部に線を挟んで押す状態を示す斜視図である。

第6図 引っ掛け部に線を挟んで引く状態を示す斜視図である。

二、 図面の詳細な説明

プラスチックからなる引出棒本体201は先端が細く、根元が太いように、順次外径寸法の変化する複数本のつなぎ竿215を、伸縮自在に連結してなっている。

この引出棒本体201の先端216に頭部218が取付けられ、この頭部218は、引っ掛け部204と線を挟んで押すための押し部214と、先端蛍光目印部206とを備え、先端216に着脱可能に接続ナット208で取付けている配線用引出棒である。

以上

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

第6図

<省略>

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